学びの続け方

2023年08月24日

7月29日(土)、熊本ホテルキャッスルで行われた安藤忠雄氏講演会へ。熊本市で進む、こども図書館プロジェクトを記念し行われたもの。

たまたま早い段階で開催を知り、すぐに申し込んだ。この世界的建築家の話を直接聞きたいというだけでなく、彼が主導する、熊本の中でも小さくないであろう動きを肌で感じられればと思った。しかし当日行ってみると、小さくないであろう、くらいに思っていた私は世間知らずだったようで、ホテルの中でも一番大きな会場で、知事や熊本市長も出席して壇上で挨拶する大がかりぶり。

すこし予想と違ったが、そんななか始まった講演は、大観衆を前に、80代という年齢や、かつて患った病気のため複数の臓器を失ったという体であることを感じさせない、笑いの絶えないものだった。コロナが明け、こんなふうに大勢で、同じ場所で一緒に笑ったりうなずいたりできたのもとてもよかった。

以前勤めていた会社の上司と社長を誘って参加。
上司は安藤氏本人から直接サイン本をゲット。

後日、会場で売られていた自伝本『仕事をつくる 私の履歴書【改訂新版】』を手に取ってみた。私の場合、このような自伝本を読んでいて何よりもまず参考になるのは、時間感覚や、必然/偶然のバランスである。安藤氏が自身の仕事を振り返るなかで出てくる「これが、5年後、たまたま◯◯につながった」とか、「途中思いがけず◯◯があり、十数年かかった」というような記述に勇気をもらう。

成し遂げた仕事の膨大さにも関わらず、それぞれの時間のスパンは想像以上に長く、偶然の要素が思いのほか多い。物事や日々の活動は直線でとらえられるものではないことがわかるし、たとえいまは不安のほうが大きくても、目の前のことを地道にやろうと思える。

こうしたらああなる、ああしたらこうなる。あれはする、これはしない。そんなふうに考えて生きるのは貧しいことなのだ。