学びの続け方

2024年06月09日

最近はまっているYouTubeチャンネル「ゴロゴロキッチン」。フランスで、フリーランスのライターをしながら夫と猫2匹と暮らす井筒麻三子さんが発信している。麻三子さん本人が家で料理する姿や、街を歩く姿、そのなかでのご夫婦のやり取りなど、穏やかな暮らしを垣間見ることができる。

日常のひとこまとはいえ、プロのカメラマンである夫の“ツーさん”が撮った映像と音声に、プロの物書きである麻三子さんの言葉(字幕)が乗せられている。こう言うとおこがましいが、それでご飯を食べてきたところのものである技術と、シンプルでもその人自身の内面に根ざした考えが合わさると、こんなものづくりができるんだ、と感心する。私もいつかこんなものづくりができたらいいなあと思う。

麻三子さんの可愛さにすっかりはまってしまい、チャンネルの人気ぶりが高じて去年出版された著書も購入。そのまえがきで麻三子さんは書いている。

「フランスに住む日本人夫婦の平凡な日常――。どう聞いてもたいしてエキサイティングじゃないのに、地球の裏側の方々までがなぜ興味を持ってくれたのだろう? 最初は不思議に思っていましたが、それはやはり、私たちが住む場所が「パリ」だから。この街に吸引力があるのは、誰もが認めるところですよね。」(『GOROGORO KITCHEN 心満たされるパリの暮らし』より)

確かに街の魅力は欠かせない要素だと思う。フランス名物である蚤の市の散策シリーズなど最高だ。でもやっぱり、視聴者である私は、「麻三子さんが暮らすフランス」を見ているのではなく、「フランスに暮らす麻三子さん」を見ている。このチャンネルが映し出すパリの街が魅力的なのは、その中で麻三子さんが幸せそうにからからと笑っているから。

さて、私も見習って、穏やかに笑って日々を暮らすために、麻三子さんの丁寧な暮らしぶりを意識して過ごしている今日このごろ。そこで気づいたのが、丁寧に時間をかけることが、かえって時間を生み出すということ。

忙しいとつい時短や効率を考えてしまうが、そんなときこそ丁寧にものごとに取り組む。そうすることで、たとえできることの総量は減ったとしても、「時間がない」という強迫観念から解放され、心にゆとりができる。この心のゆとりが、結局は、できることの質と量を引き上げていってくれるのだと思う。

丁寧さには意思がいる。なぜなら、短期的にはその効果や成果は目に見えないくらい取るに足りないもので、反対に何かをすごく犠牲にしているようにも思えてしまうから。でも、ささいなことを丁寧に時間をかけて継続するしか、有限の時間を生きる私たちが豊かになれる道はないのだ。

園芸にも挑戦してみるかと、
まずはうちの猫の実益も兼ねて、
麻三子さんがやっていた中で一番簡単そうな猫草を。
種をパラっとまくだけのはずなのに、
思うように芽が出ないのであった(笑)